面白い検索ログの原因
下 (↓) で書いた、面白い検索ログの原因がわかった。 クイズ研というサイトに、 みんなで楽しむオープンクイズ! というコーナーがあり、そこに お台場にある自由の女神像は、実物と同じ大きさである。 ○ × というクイズがあった。 このクイズを見た人が、問題文をそのまま検索して答えを探したということらしい。
しかし、下でも書いたように「実物」が何かが定義されていないので、 このクイズは問題が成立していない。
「自由の女神像の実物」 と言われて多くの人が思い描くのはニューヨーク港の自由の女神像だろう。 つまり問題は「お台場にある自由の女神像は、 ニューヨーク港にある実物と同じ大きさである。」と解釈できる。 そうだとするとお台場の自由の女神像は「実物と同じ大きさ」ではない。 よって答えは「×」
しかし、お台場の自由の女神像は、 パリ・白鳥の散歩道にある自由の女神像のレプリカなので、 実物とはパリ・白鳥の散歩道にある自由の女神像のことだとも言える。 つまり問題は「お台場にある自由の女神像は、 パリ・白鳥の散歩道にある実物と同じ大きさである。」と解釈できる。 そうだとするとお台場の自由の女神像は「実物と同じ大きさ」である。 よって答えは「○」
さらに言えば、ニューヨーク港、パリ・白鳥の散歩道、 お台場にあるいずれの自由の女神像のいずれも、 元をただせばパリ・リュクサンブール公園にある像をモデルとした像であるので、 「実物」とは、パリ・リュクサンブール公園にある像とも言える。 つまり問題は「お台場にある自由の女神像は、 パリ・リュクサンブール公園にある実物と同じ大きさである。」と解釈できる。 そうだとするとお台場の自由の女神像は「実物と同じ大きさ」ではない。 よって答えは「×」
ということで、このクイズは問題が不適切なので「解なし」となる。 実際にクイズに解答してみたところ、 問題作者は「×」を正解と考えているようであるが、 言葉をなるべく正確に考えれば、お台場の像はパリ・白鳥の散歩道のレプリカなので、 「実物」という言葉に最も正しく適合するのはパリ・白鳥の散歩道の像であって、 上記の解釈のうち 2 番目が本当の意味での正解で、 クイズの答えは「○」が正しいように思う。
ということで、 単に問題作成者の無知がさらけ出されているだけなのだった…
(Dec. 23, 2009 追記)
面白い検索ログ
サイトのログを見ていたら、 2009/12/13 23:59:31 に、以下のような面白いログを発見。
Google 検索 “お台場にある自由の女神像は、実物と同じ大きさである。” http://www.google.co.jp/
検索元 IP は 124.34.93.148 で、 確認すると、124x34x93x148.ap124.ftth.ucom.ne.jp で USEN BROAD-GATE を使っている東京の人らしい。
“実物” って何? というところがまず突っ込みどころだが、 まぁ、New York 港にある自由の女神像のことを「実物」と言っているのだとして、 「同じ大きさ」って… ホンキですか?
それとも、フランス白鳥の散歩道の像を「実物」と言っているのだろうか? そうだとすると、私が「面白いと思った」のは間違いで、正しいのか…
面白い。
(Dec. 15, 2009 追記)
追加説明
このページはけっこうヒット数が多い。 CGI に問題があるのかカウンタが何度かリセットされてしまったため、 実際にはどのぐらいのヒット数があるのかはわからないが、 ログ を見る限りは奥村のサイトの中でもトップクラスのページビューがある。
ところが、 このページに書いてある内容では、 現在では間違った説明になってしまっている部分がある。 そのことを指摘するメールを送ってくる人もいたりしたので、 説明を追加することにした。
1 年間の貸し出しとあるのに、今も像があるのは何故?
当初 1999 年 1 月までの予定で貸し出されていた女神像は、 人気が高かったため貸し出しが数ヶ月延長され 5 月までお台場にあった。 延期はされたものの 1999 年 6 月には返却されたのだが、 その人気は非常に高かったらしく、なんと、 返却後にレプリカを作っても良いという話にまでなってしまった。 現在でもお台場に行くと自由の女神像が、 このページの写真と同じ場所に同じ向きで立っているいるが、 その像は 1999 年に作成されたレプリカで、 このページの写真に写っているフランスから貸し出された物とは別物である。 見た目でも、レプリカは冠などに彩色がされているという違いがある。 また、台座の足元近くの小経にある説明版が、 かつてフランスから貸し出されたものが鎮座していた時はそう書いてあったのが、 現在ではレプリカ作成にいたる経緯が書かれたものに変わっている。
(Apr. 3, 2001 追記)
以下は、再び質問があったのと、新発見があったので追記。
多かった質問: 貸し出されていたパリの自由の女神像って何?
下にも簡単に説明があるのだが、 質問メールがあったのでちょっと詳細に…
有名なニューヨークの自由の女神像の原型は、 フレデリック・オーガステ・バルトルディという人が 1870 年に作った彫刻像で、 これを拡大コピーして鉄骨とブロンズのガワで作った像が、 アメリカ独立 100 周年を記念して フランスからアメリカに 1885 年に贈られた。 ちなみに、 なぜ旧宗主国のイギリスではなく、フランスが贈ったのかというと、 アメリカ独立戦争で独立派側で参戦したという歴史があったためである。 原型像の実物は現在パリのリュクサンブール公園 の屋外に設置されている。 (1906 年にリュクサンブール公園に設置されるまでは、 ルーブル美術館の近くにあるチュイルリー公園に置かれていた) 大きさはほぼ等身大で、 写真などで見ると 170cm ぐらいという感じである
日本に貸し出されたパリの自由の女神像とは、 この原型像のことではなく、 1889 年にニューヨークのもの (高さ 45m) の 1/4 のサイズ (高さ 11.5m) で作成されたレプリカで、 こちらも鉄骨ブロンズ像である。 これはニューヨークの自由の女神像に対する返礼として、 アメリカからフランスに贈られたものである。 普段はセーヌ川にある人工島「白鳥の散歩道」 に設置されている
ところで個人的にこれらの像のプロポーションについて気になっている。 ニューヨークの自由の女神像は、 リュクサンブール公園の原型像より上半身が若干ふっくらした感じに見える。 これは、おそらく非常に大きく、仰ぎ見ることが多いと考えられたため、 意識的にそのようなバランスに変更されたものと思われる。 そのレプリカであるパリの白鳥の散歩道の自由の女神像は、 大きさがかなり小さいにも関わらず、 ニューヨークの自由の女神像と同じプロポーションをしているように見え、 そのためちょっとバランスが悪いように感じる。 皆さんの印象はどうだろうか? (プロポーションについてはニューヨーク、パリのどちらの像についても、 私の思い込みです。正確なところはわかりません)
(Jun. 14, 2001 追記)
新発見
パリの自由の女神像のレプリカは世界中探しても東京お台場にある像だけである。 これまでもレプリカを作ってよいということにはならなかったし、 貸し出された時もそういうつもりはなかったらしい。 今レプリカ像が立っている場所には、 実は「自由の炎像」という、 かなり情けない彫刻が 2000 年 11 月から設置される予定だった。 この事は例えば 東京コンベンション・ビジターズ ビューローのサイト (リンク切れ) などで確認できた。 この情けない像の話が覆って、今のレプリカ像になったのだった。 レプリカ像をありがたがっている我々日本人もかなり情けないが、 上記の URL にイメージ図が載っているような彫刻が設置されていたら、 もっと情けなかったなぁと思ったのだった…
(Jun. 14, 2001 追記)
以下さらに追記。
既にご存知の方も多いと思うが、 上記の「自由の炎像」は、 自由の女神からフジテレビを挟んでちょうど反対側あたり、 ウエストパークブリッジを通って、 青海 P 街区と青海 Q 街区の間のプロムナードから、 青海 P 街区側へ向かう小径が分岐しているあたりに設置されている。
実物を見ると女神像よりかなり高い気がするけど、 当初は女神像の場所に置き換わりに立つはずだったので、 似たような高さのはず。 錯覚だろうか…?
(Jan. 15, 2008 追記)
原型像
原型像を見てきました。 「おまけ」のところに写真を追加した。
(Aug. 16, 2008 追記)
フランスへの見返りは?
自由の女神像を貸してもらったのは 「日本におけるフランス年」 事業の一環なのだが、 同年 「フランスにおける日本年」 事業も行われていた。 相互に文化財の貸し出しを行ったのだが、 フランスから貸し出されたものの代表がこの自由の女神像。 有名な像ではあるが、国宝でも指定文化財でもない。 対して日本から貸し出されたものの代表は、 何と唐招提寺の国宝、鑑真和上像である。 どう考えてもバランスがおかしい。 フランスに馬鹿にされてると感じるのは私だけ?
(Jun. 14, 2001 追記)
説明文をほとんどそのまま使っているサイトを見つけてしまった… まぁ、いいけど。 人のこと言えないし…
写真の散歩道 by SHOW-ME(リンク切れ、移転先にも該当コンテンツはなし)
(Feb. 16, 2003 追記)
地球の歩き方 (別名: 地球の迷い方) 掲示板で引用されていました
フランスの自由の女神像 at 地球の歩き方掲示板
(May 11, 2005 追記)
(ここからが、もともとの記事内容です)
日本におけるフランス年事業の一環として、 普段はフランスはパリ、セーヌ川の中州「白鳥の散歩道」 Allee des Cygnes に立っている自由の女神像 Statue de la Liberte が東京のお台場に 1 年近い長期に渡って設置されていた。
実は奥村は 1998 年 6 月にパリに行った時 にこの白鳥の散歩道の自由の女神像が本来立っている台座の所まで行って、 「自由の女神像は今東京にあります」というメッセージを見てきている。
この自由の女神像はアメリカ建国 100 年を記念してフランスからアメリカに贈られた ニューヨークの自由の女神に対する返礼として、 フランス革命 100 年の時にアメリカからフランスに贈られたものである。
- フジテレビ社屋
- 自由の女神像
- 自由の女神はごらんのようにフジテレビに向かって設置されている。 自由の女神がフジテレビに忠誠を誓っているように見えるのは気のせいか…?
- お台場海浜公園のトイレにはこんな注意書きがあった。 砂の着いた足をここで洗う人が多くて困っているのかもしれないが、 本質的には 「足を洗う人」 が悪いというよりは 「砂浜の公園を作っておいて足を洗う場所を用意していない東京都」 の不作為に問題があるのは明らかで、 こんな注意書きを貼る暇があったら洗い場を作ればいいのにと思う
- お台場の海には水鳥が浮かんでいた
おまけ 5 – パリ原型像
- 2008/07/27(日)、 パリへ日帰りで行く機会があり、 リュクサンブール公園の自由の女神原型像を見てきました。 大きさは等身大か、やや小さい感じだった。
像の向かって左に立つ説明板の記述はこんな感じ。 (元はフランス語で、表示のさせ方がわからない文字があるため、そういった文字は、 似たアルファベットで代用しています)
A l’occasion de l’exposition universelle de 1900, le sculpteur Auguste Bartholdi a offert au musee du Luxembourg le modele en bronze qui lui servit a realiser la statue de la Liberte de New York. Cette statue a ete placee en 1906 dans le jardin du Luxembourg.
英訳すると、こんな感じ? (フランス語はわからないので、単語だけ調べて適当に英語にしてみました)
With the occasion of the World Fair of 1900, the sculptor Auguste Bartholdi offered to the museum of Luxembourg the bronze model which was useful for him to carry out the Statue of Liberty of New York. This statue was placed in 1906 in the garden of Luxembourg.
日本語にすると、たぶんこんな感じ
1900 年の万国博覧会に際して、 彫刻家のオーガステ・バルトルディが、 リュクサンブール美術館に、 彼がニューヨークの自由の女神を作る時に使った銅像を提供した。 この銅像は 1906 年にリュクサンブール公園に設置された。
おまけ 4 – ニューヨーク
- 2004/08/01(日)、 ニューヨーク港の自由の女神像
1999 年 01 月にお台場でフランスの自由の女神像を見てから 5 年半、2004 年 08 月に 2 泊 3 日でニューヨークへ行った 2 日目、 ついに本家ニューヨーク港の自由の女神像を見てきました。 でもこれってニュージャージー州にあるんですよね…
(括弧内 2008/08/16(土) 追記 – リバティ島はニューヨーク州とニュージャージー州の州境である、 ハドソン川の中心線よりもニュージャージー州側にある。 私は地図でそれ見て、 リバティ島はニュージャージー州なのだと思って上記のように書いた。 しかし、実はリバティ島は連邦領で、どの州にも属さないらしい。 また、実務上はニューヨーク州が管理している)
おまけ 3 – ラスベガス
- 2001/01/08(月)、 ラスベガスのホテル、ニューヨーク・ニューヨークの自由の女神像
写真が傾いているのは、撮っている場所が歩道と車道の境目で、 これ以上後ろへ下がることができなかったため、 なんとかホテルと自由の女神像を一緒に撮ろうとしたら、 こんな構図になってしまったという理由です
おまけ 2 – レプリカ
- 2001/03/24(土)、 東京ビッグサイトで行われたイベント (おもちゃショー) を見に行った帰りに、 現在立っているレプリカの写真も撮ってきました
おまけ 1 – パリ
- 1998/06、 お台場に来た像が本来立っている場所、 セーヌ川の中州「白鳥の散歩道」 にあった、不在中の覆い