(詳細) JAXA はやぶさ帰還イベント

速報した通り、2010/06/13(日) は、JAXA 相模原キャンパスで行われた、はやぶさ帰還記念管制室ライブ放送パブリックビューイングに行って来ました。
JAXA 相模原キャンパス
JAXA 相模原キャンパス
JAXA 相模原キャンパスには広報のために設けられた常設の一般公開向けのエリアがある他、屋外にも日本が過去に打ち上げたロケットのうちのいくつかが展示されています。この写真のロケットは、はやぶさを打ち上げたのと同形式の M-V (ミュー・ファイブ) ロケットの 2 号機の実物 (一部は模型) です。はやぶさは、M-V ロケットの 5 号機で打ち上げられました。
M-V-2 ロケット
M-V-2 ロケット
一般公開用の広報エリアは JAXA 研究管理棟 Research and Administration Building にあります。入ってすぐに、はやぶさの実物大模型が展示されています。
はやぶさ実物大模型
はやぶさ実物大模型
この模型は展示のために作られたのではなく、熱設計の検証用につくられたもので、けっこう精巧にできています。
こちらは、イトカワ離陸後に壊れてしまって、はやぶさが一時行方不明となった原因となった燃料漏れを引き起こした化学推進 (RCS) モーターです。
化学推進 (RCS) モーター
化学推進 (RCS) モーター
太陽電池パネルの裏面には、配線まで再現されていました。
太陽電池パネル裏面の配線
太陽電池パネル裏面の配線
イトカワからのサンプル回収を行うサンプラー部です。
サンプラー部
サンプラー部
サンプラー部の先端には、サンプラーホーンがあります。
サンプラーホーン
サンプラーホーン
衛星本体の下面には、ターゲットマーカーがぶら下がっています。他にもレーザーレンジファインダーなど観測用の機器がついています。
ターゲットマーカー
ターゲットマーカー
私は不勉強にも、どの部分が地球に帰還するカプセルなのか当日まで知らなかったのですが、この写真の中央に移っている中華なべをひっくり返したような部分が、地球帰還カプセルです。当然と言えば当然ですが、サンプラー部の根本にあたる部分にあります。
地球帰還カプセル
地球帰還カプセル
そしてこちらが最後まで大活躍してくれた、今回が実証利用としては世界初となったイオンエンジンです。
イオンエンジン
イオンエンジン
こちらは模型のイオンエンジン操作部です。「1 時間以上の連続点灯不可 (1 時間点灯したら 30 分消灯)」と注意書きがされていました。本物のイオンエンジンより、展示用に光るだけの装置の方が耐久性がないようです。
イオンエンジン模型発光部操作盤
イオンエンジン模型発光部操作盤
しばらくしてから見に行ったら、イオンエンジンの 1 基 (A) が運転を見合わせていました。(…)
イオンエンジン 1 基運転見合わせ中
イオンエンジン 1 基運転見合わせ中
こちらは、「はやぶさ君地球帰還カウントダウン日めくり」です。「0 日」になっています。そうです。今日 2010/06/13(日)、はやぶさはついに地球への帰還を果たすのです。
0 日を示すはやぶさ君地球帰還カウントダウン日めくり
0 日を示すはやぶさ君地球帰還カウントダウン日めくり
建物の奥へ進むと、はやぶさ帰還パブリックビューイングの会場がありました。
はやぶさ帰還パブリックビューイングの会場
はやぶさ帰還パブリックビューイングの会場
19:00 スタートのところ、18:30 頃に到着したのですが、もはや部屋に入りきれず、入口で大勢が立っている状態でした。
人でいっぱいのパブリックビューイング会場
人でいっぱいのパブリックビューイング会場
会場には色々な人がやってきて、はやぶさの運用などについて説明をしてくれていたようです。その場にいたのに「ようです」と他人事にように書いているのは、私は入口すぐ外に立っていたのですが、音声は全く聞き取れず、何を話していたのかわからなかったからです。
パブリックビューイング会場で説明する JAXA の方
パブリックビューイング会場で説明する JAXA の方
こちらは、はやぶさ君 Twitter を実際に書いている「IES 兄」さんです。
IES 兄さんが何か話をしている
IES 兄さんが何か話をしている
この日は、IES 兄さんが、目の前で「手書きツイッター」を実演してくれました。
手書きツイッター「6 月 13 日 19 時 51 分 (日本時間) にカプセルを分離しました。探査機本体の状態は良好です。」
手書きツイッター「6 月 13 日 19 時 51 分 (日本時間) にカプセルを分離しました。探査機本体の状態は良好です。」
手書きツイッター「21:30 残り 1 時間半. 「はやぶさ」は静止軌道の内側に入りました。 IES 兄」
手書きツイッター「21:30 残り 1 時間半. 「はやぶさ」は静止軌道の内側に入りました。 IES 兄」
上記をツイートした後、「静止軌道とは何かわからなければ、近くの人に聞いてください」と言ってました。実際、周囲には説明してくれそうな濃ゆ~い人がたくさんいました。
手書きツイッター「22:00 残り 1 時間。残り距離は約 2 万 Km。。IES 兄 鉄道ではフチノベの手前です。」
手書きツイッター「22:00 残り 1 時間。残り距離は約 2 万 Km。。IES 兄 鉄道ではフチノベの手前です。」
パブリックビューイング会場の外では、「はやぶさ君の冒険日誌」の作者である、小野瀬直美さんが、テレビ局のインタビューを受けていました。
テレビ局のインタビューを受ける「はやぶさ君の冒険日誌」の作者の方
テレビ局のインタビューを受ける「はやぶさ君の冒険日誌」の作者の方
入口ロビーの、はやぶざ実物大模型の裏手では、宇宙教育テレビの特別放送の仮設スタジオが設定され、こちらもにも大勢の観客がいました。
宇宙教育テレビ仮設スタジオ
宇宙教育テレビ仮設スタジオ
スタジオは、はやぶさ実物大模型を背に、建物の奥の方に向かって設置されていたので、見学するには建物奥の方へ向かう必要があります。常設の広報用展示施設部分を通ってまわりこんでいくのですが、その部分はごらんのように多数の人がいて大混雑でした。
宇宙教育テレビ仮設スタジオを見ようとする大勢の人々
宇宙教育テレビ仮設スタジオを見ようとする大勢の人々
実は、私は建物に入ってすぐにこのスタジオと集団を見つけ、これが「パブリックビューイング」の本会場だと思ってしばらく見ていました。この場所でも管制室ライブ放送はテレビ画面に映されていましたが、これがパブリックビューイングだというわけではなかったようです。
そうは言っても、こちらの会場にも JAXA の関係者がかわるがわるやってきては、色々な話を聞かせてくれました。ただし、パブリックビューイングの本会場である会議室もそうでしたが、この会場も音響が悪くて、後ろの方では音声はほとんど聞き取れませんでした。
JAXA の方が来て話しをしてくれています
JAXA の方が来て話しをしてくれています
司会者の裏手の方から見るとこういう感じです。
宇宙教育テレビ仮設スタジオ司会者裏手から見た様子
宇宙教育テレビ仮設スタジオ司会者裏手から見た様子
宇宙教育テレビ仮設スタジオに話をしにきた JAXA 関係者はメディアにもつかまって色々インタビューを受けていました。
メディアのインタビューを受ける JAXA 関係者
メディアのインタビューを受ける JAXA 関係者
もうすぐ 21:00 になろうかという頃に、入口付近に人が大勢集まっていました。みなさん、入口の方にカメラを向けて撮影しています。
入口にカメラを向ける人々
入口にカメラを向ける人々
回り込んで撮影隊に加わってみると、みなさんが撮影していたのは、帰ってきた「はやぶさ」でした。
JAXA 相模原に帰還した「はやぶさ」
JAXA 相模原に帰還した「はやぶさ」
しばらくすると宇宙教育テレビの司会の人が、はやぶさの人に気づいて、出演交渉をしていました。
はやぶさの人に出演交渉をする宇宙教育テレビの司会者
はやぶさの人に出演交渉をする宇宙教育テレビの司会者
科学には冷たい態度を取るのが格好いいと思っているらしい最近のテレビですが、この日はやたらと取材に入っていました。話している内容を聞くと、いつも科学は諸悪の根源のように言っているくせに、この日はやたらとポジティブに報道していました。
テレビカメラに向かってしゃべるアナウンサー
テレビカメラに向かってしゃべるアナウンサー
宇宙教育テレビ仮設スタジオの様子も、テレビや新聞などの各メディアが熱心に取材していました。
宇宙教育テレビ仮設スタジオの様子を取材するメディア各社
宇宙教育テレビ仮設スタジオの様子を取材するメディア各社
また、建物内のあちこちでテレビ局が来場者にインタビューをしていました。
子供を取材するテレビクルー
子供を取材するテレビクルー
大人もインタビューを受けてます
大人もインタビューを受けてます
インターネットメディアっぽい、小型のデジタルムービーカメラで取材している人もいました。
デジタルムービーカメラで取材する人
デジタルムービーカメラで取材する人
USTREAM 放送しているっぽい人も何人かいました。
USTREAM 放送しているっぽい人
USTREAM 放送しているっぽい人
USTREAM 放送しているっぽい人
USTREAM 放送しているっぽい人
はやぶさの実物大模型の前では、おそらく擬人化はやぶさのマンガのぬいぐるみと思われるものと、実物大模型を一緒に記念写真を撮っている人がいました。はやぶさの人も何気なく写りこんでいます。
擬人化はやぶさのぬいぐるみ (おそらく)
擬人化はやぶさのぬいぐるみ (おそらく)
夕食を食べずに 19:30 から 23:00 ぐらいまでというイベントに参加すると聞いて、妻がおにぎり弁当を作ってくれました。22:00 すぎ、私自身の気持ちが中だるみしてきたところで、休憩スペースで食べました。
妻が用意してくれたおにぎり弁当
妻が用意してくれたおにぎり弁当
真ん中のアルミホイルの包みの中身は、柿安の魚のフライです。
おかずは柿安の魚のフライ
おかずは柿安の魚のフライ
ご飯を食べたところで持ってきた 500cc のペットボトルのお茶を飲みきってしまったので、新たに買おうと自動販売機へ行ってみると、ペットボトルの商品はすべて売り切れていました。普段の見学者に比べると、おそらく数十倍以上の人数が来ているので、売り切れは仕方ないのかも知れません。
自販機のペットボトル商品はすべて売切れ
自販機のペットボトル商品はすべて売切れ
入れれば出す、ということでトイレにも行ったのですが、女子トイレの入口のところに、ロッカーがあるのが謎でした。ちなみに男子トイレにはロッカーはありません。
女子トイレ入口にある謎のロッカー
女子トイレ入口にある謎のロッカー
上でも書きましたが、宇宙科学テレビのスタジオがある部分は、常設の広報用展示施設の中です。その施設には、はやぶさを打ち上げるのに使われた M-V-5 ロケットの模型もあります。
M-V-5 ロケットの模型
M-V-5 ロケットの模型
はやぶさ打上時の状況の解説図もありました。
M-V-5 ロケットはやぶさ打ち上げ解説図
M-V-5 ロケットはやぶさ打ち上げ解説図
パブリックビューイングの会場の会議室は人が多すぎ、また、宇宙科学テレビ仮設スタジオも人があふれていたため、急遽第 3 会場が用意されました。
元々インターネット放送されている管制室のライブ映像とは別に、パブリックビューイングが行われている会議室の様子を、USTREAM 中継してながしていました。まぁ、臨機応変にこのような事ができるインフラが整っているんだなぁ、とも思いましたが、なんだかグダグダな感じでもあります。
パブリックビューイング第 3 会場
パブリックビューイング第 3 会場
第 3 会場の 2 つ目の画面は、途中から、はやぶさが大気圏再突入をするオーストラリアの夜空を写す、和歌山大学の USTREAM 放送に切り替わりました。
和歌山大学の USTREAM 放送を見る第 3 会場
和歌山大学の USTREAM 放送を見る第 3 会場
ライブといっても、全く動きのない画面を、暗い会議室にぎっしり座った人々が声を潜めて見ています。かなり異様な光景です。この和歌山大学の中継は、ライブといながら 5 分ほどの遅れがあるのですが、再突入の光が観測されたようだ、という情報が Twitter などを見ている人からざわざわと出てきてしばらくすると、私が想像していたよりはるかに明るい光りが、3 つの明るい星との位置関係から、このあたりで再突入したはやぶさの光が見えると予想されていた、ドンぴしゃりの場所で輝きはじめました。会場の人々が口々に「おめでとう」、「おかえり」と叫ぶ中、光は、雲に反射して一瞬ひときわ大きく輝き、その後すっと消えていきました。拍手が起こります。
はやぶさ火球を見て沸き立つ人々 @ JAXA 相模原キャンパス
はやぶさ火球を見て沸き立つ人々 @ JAXA 相模原キャンパス
しばらくすると、和歌山大学の USTREAM 中継画面の、先ほどよりかなり低い位置に新たな白い光りが出て「なんだあれは」と騒ぎになりました。私は「あれは車のヘッドライトだと思う」と言ったのですが否定する意見を言う人もいて、何かよくない事が起きているのかと心配しだす人もいましたが、結局その後の光の動きや、向きが変わるように光った後、テールランプっぽい赤い光になったり、さらに別の光が、同じ高さに現れたことなどから、やはりあれは車のライトということに落ち着きました。
その後も多くの人が名残りを惜しむように JAXA の建物内をうろうろしていましたが、少しずつ人が帰って行きます。パブリックビューイングの主会場に行くと、さすがに人が減っていて、中に入れました。IES 兄さんが「手書きツイッター」を貼り付けていたホワイトボードには、色々な人がメッセージを書いていました。
色々な人がメッセージを書き残したホワイトボード
色々な人がメッセージを書き残したホワイトボード
会議室では、IES 兄さんにサインをしてもらおうと、大勢の人が列を作っていました。
本日のスター、IES 兄さん
本日のスター、IES 兄さん
私は結局パブリックビューイングを見に行ったというより、主要な会場でいい位置に入れなかったために JAXA の施設の公開されている部分を歩き回っていただけだったのですが、カプセルの分離の時、はやぶさへのコマンド送出の終了の時は宇宙科学テレビ仮設スタジオのところいて、大勢の人と一緒に拍手をして喜びを分かち合うことができました。そして再突入の瞬間も、第 3 会場の会議室にいた人々の興奮を感じることができました。
帰りは、来るときは降っていなかった雨が降っていました。私はスクーターで来ていましたが、屋根付のキャビーナ 90 というスクーターなので、雨はあまり気にせず帰ることができました。それでも少しは雨に濡れましたが、多くの人が喜びを表現していたその場にいることができたということがとても幸せであったと感じられ、雨のことは全然気になりませんでした。
他の人の Blog などを見ると、この後も管制室ライブの画面に JAXA の人が「ありがとう!!」、「これで中継を終了します」といったメッセージを掲げたり、はやぶさが最後に地球を撮影した画像を印刷した紙を JAXA の人が見せに来てくれたりといったことがあったようです。夜遅くなることを見越して、翌日の 2010/06/14(月) は午前半日休暇を取っていたので、もう少し残っていてもよかったかも知れません。
最後に、JAXA のみなさん、おめでとう!


2011/08/05(金)追記
最近このエントリに言及してくれている Blog がありました。古いエントリーでも見てくれる人がいるというのはありがたいことです。
http://hbmc.exblog.jp/16065419/

「(詳細) JAXA はやぶさ帰還イベント」への1件の返信

  1. はじめまして
    ブログで言及させていただきました者です
    古くても内容充実ですばらしいと思いました
    事後の報告になってしまい大変申し訳ございません
    自分はヘリコプターも好きなので
    最新記事にかなりなわくわくを感じながら
    拝見しました!

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