国立公文書館で「昭和 20 年 – 戦後 70 年の原点 -」という展示会をやっていて、そこで終戦の詔書の原本が会期途中の 2015/08/15(土) まで公開されていました。
原本公開の最後の日、2015/08/15(土) に滑り込みで見て来れました。
国立公文書館は色々な企画展をやっていますが、なんといっても色々な本物の資料を持っている国立公文書館だけに、その展示会は毎回かなり質の高いものです。しかも基本的に無料、かつ、写真撮影可能です。でもあまり知られていなくて、こんな貴重な資料の公開最終日だというのに、人はそれほど大勢は来ていませんでした。まぁ、ガラガラというほどでもありませんでしたが。
他にも貴重な資料がたくさん公開されていましたが、写真をずらずら並べても意味がないので、終戦の詔書だけ載せておきます。
これを見てわかる人はわかるのですが、「あ、失敗している」という点があります。天皇の印である玉璽が、最後の行の文字にかかってしまっているのです。
詔書は、終戦の詔書以外にも多数ありますが、文字に玉璽がかからないように、必要な空間を考えて文字を少し詰めて書いたりするのが普通で、このように玉璽が文字にかかってしまっているのは非常に珍しいことです。これは、この文書自体が非常にあわてて作られていたということの証拠なのです。
終戦の詔書と言ってもピンと来ない人もいるかも知れませんが、終戦の玉音放送はご存じだと思います。終戦の玉音放送とは、実は、この終戦の詔書を読んだものです。一言一句違いなく、読み上げているだけなので、逆に言うと、この詔書の文章には、あの有名な「朕深く世界の大勢と帝国の現状に鑑み」といった出だしや「堪え難きを堪え、忍び難きを忍び」といった表現 (1 枚目の写真の右のページの 2 行目末から) が出てきています。終戦の直前、細かな言い回しなどを検討しながらも、詔書の形式で作り上げる必要があり、文章が確定しないまま書き上げたと言われています。この玉璽がかかっている部分以外にも、文字を削って修正したと思われる個所や、吹き出しのような記号を使って分を差し込んでいる部分など、他の詔書には見られない修正跡があり、緊迫感が伝わってきます。
大変貴重な資料を見れてよかったです。