2016/11/05(土) に、ヤマハ袋井テストコースで行われた、ヤマハ歴史車両デモ走行会見学会というイベントに行ってきました。
事前にインターネットで公開されていた案内で、二輪車は袋井テストコース内に駐車できるが、四輪車は別の場所に駐車して、そこからシャトルバスになると説明があったので、二輪車 (RG-200Γ) で行くことにしました。
自宅を出てそれほど遠くない東名高速の鮎沢 P.A. で最初の休憩です。鮎沢 P.A. からこんなに綺麗に富士山が見えるとは知りませんでした。
現地に到着して、二輪車はこちら、という看板に従って袋井テストコースへ到着すると、正門前で係りの人が「二輪車駐輪場は満車です。もう入れないので、四輪車と同じ駐車場へ行ってください。」と (それほど大きくない声で…) 言っていました。オートバイに乗っているとエンジン音にかき消されてしまうので、その人の目の前まで行って初めて聞き取れるので、道の反対側で渋滞待ちのようになっていたオートバイのライダー達も、そこから直接折り返さずに、1 人 1 人、係りの人のところに寄ってきては、ようやく説明が聞き取れて去っていくというカオスな状態が続いていました。拡声器を使ってオートバイのライダーに聞き取れるようにするか、大きなボードに説明を書いて、読めばわかるようにするかしなければならないと思いました。
私は四輪車の駐車場まで行ってシャトルバスに乗るのは嫌だったので、袋井テストコースから少し離れたところで路上駐輪することに決め、そこから歩いて会場に向かいました。
ちなみに、会場にはオートバイ用以外に、自転車用の駐輪場も用意されていて、そちらはまだかなり台数に余裕がありました。自転車で来ている人もそれなりにいて、私が着いた時間帯でも、正門の係りの人は、自転車は通していました。
敷地を進んでいくと、「これより先 外来者進入禁止」 の看板が登場します。この日ぐらいは 「今日は入れます」 というような貼り紙をしてあってもよいように思いました。
会場に到着すると、レイアウト図と、タイムスケジュールがありました。走行見学エリアの位置が、この図だとわかりにくいですね…
デモ走行が始まる時間まで、デモ走行車両や、その他の展示車両を自由に見学できます。特に車両のまわりにロープなどが張られているわけでもなく、本当に自由に見学できる状態でした。
なんとなくアメリカンっぽい雰囲気の Popgal という原付。かわいいスタイルです。
こちらはステップスルー型スクーター原付の元祖、パッソルです。私が中学生から高校生ぐらいの頃にものすごく売れたオートバイで、本当にそこら中を走っていました。
リアタイアのサスペンションは、タイヤを片持ちでエンジンユニットそのものがバネ下に入ってタイヤと一緒に揺れる、ユニットスイングです。今のスクーターもほとんどがこの形式ですが、既にそのスタイルが完成しています。
こちらは Zippy という原付です。独特のスタイルがかわいいです。こういう個性的なスタイルの原付は現在は絶滅しましたね。
こちらは GP50 マシン RF302 です。上から見ると、細い! 17 馬力、最高速度は時速 170km 出たそうですが、こんな細くて華奢な車両で時速 170km 出たら、ライダーはすごく怖かったのではないでしょうか?
続いて Tech21 カラーの FZR750 です。私が高校生の頃、当時はレースとしてとても人気があった 8 耐に平選手が出場した車両です。当時はカッコいいと思ったものですが、今見ると、特にフロントカウルの形状に時代を感じて、古臭い感じです。でも、このカラーリングは今見てもカッコいいですね。
四輪車は、まず トヨタ 2000GT です。トヨタ博物館などでも何度か見たことがありますが、この色のトヨタ 2000GT は初めて見ました。世間的には評価の高いデザインですが、私は小学生の時に名古屋への遠足に先立っての説明会で初めてこの車の説明を聞き写真を見た時に 「カッコ悪」 と思ってしまって以来、どうも素直にカッコよく思えないところがあり、見るたびに微妙な思いをいだいてしまいます。まぁ、大人になってから初めて見たトヨタスポーツ 800 なんかは、スタイルのテイストは似ているのに、素直にカッコいいと思えるのが不思議なところです。トヨタ 2000GT も、もう少し大人になってから初めて見ていれば、素直にカッコいいと思っていたのかも知れません。
そして、おそらく今回のイベントの目玉である OX99-11 です。これは黒の車体です。
こちらも OX99-11 です。赤色の車体です。
OX99-11 最後の 1 台は緑色です。
今回 3 台が展示されていた OX99-11 ですが、ヤマハの方によると 5 台製造されたらしいです。残りの 2 台は、なんと行方不明なのだとか… 製造した後市販しないことが決定すると、倉庫などにしまいこまれて、忘れられた存在となっていたものを、数年前に復活させたのですが、その時出てきたのがこの 3 台だけだったのだそうです。FRP のボディーなどは数年しまっておいたぐらいでは痛まないと思いますが、ECU なんてソリッドステートの電子回路のはずなのに市販車の ECU は何故か放置していただけで壊れてしまうので、どうしたのか聞いてみましたが、保管状態が良かったのか、ECU については特に何もしなくてもそのまま使えているのだそうです。樹脂系の部品とかをどうしたのか聞きそびれましたが、おそらく再作成したものとかもあるのでしょうね。そして、残りの 2 台は一体どこにあるのか、興味のあるところです。
OX99-11 は、ドアやフードを開けて内部が見える状態でも展示されていたので、内部の写真も自由に撮れました。まずは運転席です。
エンジンは当時の F1 そのものらしいです。ステアリングホイールはおそらく当時でももっとボタンとか一杯ついてたと思ったのですが、同時代の MP4/6 のステアリングをインターネットで画像検索して見ると、ラジオの操作ボタンぐらしかついてないシンプルなものだったので、当然無線などが付いてない OX99-11 は、ステアリングにボタンがなくても時代的にそういうものだったということのようです。運転席は右でも左でもなく中央にあるのですが、ミッションは右手で操作する位置にあるので、操作体系としては左ハンドル車です。
続いてエンジンです。
V 型 12 気筒エンジンなので、片側から見ると 6 つのシリンダーヘッドが並んでいます。インジェクション車でシリンダーの上の方に見える機器がインジェクション系のものらしいです。エンジンの上に付く吸気用のダクトが、まさに F1 という形状をしているのが良いですね。
そしてリア・サスペンション。F1 ではおなじみのダブル・ウイッシュボーン・サスペンションです。車体カウルがある OX99-11 ではあまり意味がないのですが、ダンパーとスプリングは、ミッションの上部にインボード・マウントされているのも F1 と同じです。サスペンション用のフレームがあるわけではなく、ミッションのモノコックに直接サスペンションが付いているように見えるのも、F1 と同じなのだと思います。
デモ走行の時間が来ると、展示エリアから出て行くようにアナウンスがありました。アナウンスがあっても、なかなか人が柵の外へ出て行かず、いきなりスケジュールから大幅遅れでデモ走行がスタートしました。
展示エリアからの観客の追い出しがようやく終わると、走行予定車両のエンジンが順次スタートされていきます。エンジンをかけ始めた頃には、すでに走行コース横のエリアに移動していたので直接は見れませんでしたが、古い車両であることもあるのだと思いますが、アクセルを空ぶかしして調子を整えているらしき様子が、音で伝わってきました。しかし、そればかりずいぶん時間をかけてやっていて、なかなか走り出しません。と思っていたら、いきなり目の前のコースを、ちょろちょろっという感じでオートバイが駆け抜けて行きました。
コース脇にいるとほとんど聞こえないため気づいていなかったのですが、よく耳を澄ますと、中央のコントロールタワーの建物付近でなにやらアナウンスをしているらしく、次に走行する車両の紹介をしているようです。しかしコース脇の走行が見えるエリアにいると、「あ~、何かマイクでしゃべってるな」ということはわかりますが、何を言っているのかは全く不明です。また、1 台、1 台の走行の時間間隔がバラバラで、1 台目と 2 台目の間はものすごく空いてましたが、途中は順調に次々と走ってくる時間もあり、そう思っていたら、また間が空いて、と、何が起きているのか全然わからず、ただただ目の前に時々走りに来るオートバイを、説明も聞き取れないまま呆然と見ているだけ、という謎イベント状態になっていました。
デモ走行が 3、4 台行われたあたりで、驚くべきことに既に帰る人が出始めました。こんな走行を見てても面白くないと思ったのかも知れませんが、決断が早すぎます…
私が結局入れなかった会場の二輪駐車場は、けっこう奥の方まで駐車車両を入れていました。駐車場に入る時は走行して入ったらしいのですが、出て行く時は、観客のいるエリアを通るため、押して出て行くように指示されたらしいです。大型二輪で来ている人も多かったのですが、重そうな車両を、ここからはエンジンかけて自走してよいです、と言われるエリアまで押しているのは、見ていてとても大変そうでした。
次に走った RZ250 は、何故か他の車両よりずっと遠くまで行って戻ってきて、さらに 2 往復していました。どうやらライダーさんが走行手順を勘違いしていたようです。他の車両より速い速度で走っていたので、1 回目ではブレブレな写真しか撮れなかったので、2 往復してくれて助かりました。
ここで二輪車・市販車のデモ走行は終了です。あれ? 二輪車・市販者のデモ走行は 30 台だったはずなのに、写真でこうやって見返してみると 31 台が走行しています。で、私の撮った写真で見ると、1 台目と 3 台目はどうやら同じオートバイのよう。他の方の twitter や blog 記事なども参考にすると、どうもデモ走行というのは YA-1 (上記で 2 台目となっているオートバイ) からスタートで、その前に YD-1 がなぜか 1 回走ったようです。
続いて四輪車のデモ走行です。まずはトヨタ 2000GT と、LEXUS LFA です。スケジュールが遅れていたためなのか、元からの予定なのか、この 2 台は同時にコースインして走行しました。
二輪車市販車は、コントロールタワーの前の、500m ぐらいの区間を往復しただけでしたが、トヨタ 2000GT と LEXUS LFA は、コースを周回走行しました。さきほどまでの二輪車と同じようにチンタラした走りしか見れないのかと思っていたら、あっと言う間に、見えないところまで走って行ってしまいました
続いて OX99-11 のデモ走行です。まずは、赤い車両、黒い車両、緑の車両の順にコースに入ってきて、整列しました。
そして走行開始です。
エンジンは 3 台とも同じものですが、黒の OX99-11 だけマフラーが異なり、音が大きいです。その点を考慮しているのか、黒の OX99-11 のドライバーはアクセルを控えめにしていたように思えました。
また、緑の OX99-11 だけ、ライセンスプレート (ナンバープレート) がついています。この KI OXY というライセンスプレートは、OX99-11 がイギリスで登録して走行していた時の、本物のライセンスプレートです。
続いて、二輪車レース車両のデモ走行です。
二輪車でも、レース車両はコースを周回します。出だしは様子見なのかそれほど速くない速度で立ち上がっていきましたが、2 周目は、予想以上に本気の走りでカッ飛んでいて驚きました。
平選手のオートバイというイメージの TECH 21 カラーの FZR 750 は、河崎 裕之さんという、かつてのライダーが乗っていました。私はこの日まで知らない方でしたが、WGP で複数回表彰台に立つなど実績のあるライダーの方でした。
当初のスケジュールだと、この後記念撮影があって終わりなのですが、なんと、この時間になっても、まだ駐車場からのシャトルバスに乗って新たにやってくる人がたくさんいる状態であったため、急遽 16:00 から、1 回目より短縮バージョンですが、2 回目の走行セッションが行われることになりました。
1 回目の走行では、なかなかピントが合わなかったり、手振れがあったりと、あまり綺麗な写真が撮れなかったので、駐車場への出入りだと速度が遅いので、車両の写真が撮りやすいだろうということで、2 回目のデモ走行は、コース脇ではなく、コースへの出入り口近くで見ることにしました。
狙い通り、速度を落として走る車両を撮影できました。
2 回目のセッションの、1 回目より台数を減らしての二輪車市販車デモ走行が終わり、二輪車レーサーのデモ走行が始まったぐらいの時間に、時刻でいうと 16:30 ぐらいだったでしょうか、アナウンスで 「駐車場から乗客を乗せた最後のシャトルバスがただいま到着しました」 と流れていました。すごく遅れてきた 2、3 人が乗っているのかな? と思って到着したばかりのバスの方を見ると、ほぼ満席でした。もうイベントはほとんど終わっているのに、駐車場でシャトルバスを待つ行列にずっと並んでいて、この時間になってやっと会場に辿り着けた人がいたということのようです。2 回目のセッションをやると聞いた時はすごいサービス精神だなと思いましたが、その状況だとやらざるを得なかったのでしょうね…
さらに 16:51 には日没です。
最後の四輪車のセッションは、ヘッドライトのある車両ばかりなので、とりあえず走行はできそうです。写真は厳しい… 駐車場では、トヨタ 2000GT が走行の準備で小さく移動していましたが、リトラクタブルヘッドライトを上げて、バックランプとブレーキランプが点いている状態のトヨタ 2000GT という、それなりに珍しい写真が撮れました。
OX99-11 もヘッドライト、テールランプを点けてのコースインです。
周回コースの反対側は観客は入れないのですが、表側の駐車場の端っこの方へ行くと少し見える部分があります。1 回目の走行時にはコース脇に 3、4 重に人垣が出来ていたので、コース脇へ来ることを諦めて、そちらで見ている人がいました。1 回目の時もそちらにも興味があったのですが、人が多いので、一旦場所を離れるとすぐにその場所を他の人に取られてしまい、戻ってくると人垣の後ろからしか撮影できなくなるため、移動を諦めていました。今回はコース脇はガラガラで、自分の場所を一度離れても支障なく戻ってこれるので、そちらにも移動して撮影してみました。
ヘッドライトを点けていることもあって、ル・マン 24 のような耐久レースを見ているような雰囲気でした。コースのゴール部分に戻ってくる OX99-11 とトヨタ 2000GT も、やはり耐久レースのゴールのような感じです。昼のイベントとは違う雰囲気で、これもなかなかよかったです。
最後に OX99-11 と記念写真を撮ってもらいました。
現地でも、また、現地に到着するまでも、リアルタイムの情報不足を感じました。現地のアナウンスは、コントロールタワーのすぐ近くでしか聞こえませんでした。
イ ベント公式 Twitter アカウントを事前に周知しておいて、そのアカウントでリアルタイムに 「次に走る車両は XX です」 と tweet してくれたり、駐車場問題にしても、そのアカウントで 「コースの二輪駐車場は満車になりました。四輪車と同じ駐車場へ向かってください」 などと情報発信してくれると、開催者側にとってはあまり大きな負担とならずに、参加者からは情報がよく見えるようになるので、そのような方法を次回は取っ て欲しいと思いました。
上記のような改善の提案はあるのですが、今回のイベントは、ヤマハさんの予想をはるかに上回る人が来てしまったようで、それに伴って運営上の問題がいくつも発生してしまったというだけで、本質的には来客側の問題であったとも言えます。ヤマハの方々は、想定外に状況に対して、それなりに良く対応されていたのかなと思います。今回は 8 年振りの開催ということで人がたくさん来すぎてしまったということがあると思います。毎年やれば、もう少し人が分散すると思うので、来年以降も着実に毎年開催してくれるとよいなぁ、と思いました。