2016/12/04(日) をもって、JR 北海道の留萌本線、留萌~増毛間が廃止になるということで、さよなら乗車に行ってきました。
往復は、東京・羽田空港から、旭川空港まで、飛行機です。関東は秋っぽい寒さとはいえ、まだ軽めのコートを着ています。北海道がどのぐらいの寒さかよくわからず、とりあえずダウンコートを今年初めて着てみました。飛行機が旭川に近づくと、地面が雪に覆われていて、ダウンコートでどうやらよかったらしいとわかりました。
旭川空港から旭川駅へ、バスで移動します。空港バスとはこういうもの、という固定概念を突き崩されるバスでした。
旭川駅から JR です。
旭川駅からスーパー宗谷 2 号に乗車して、深川駅に到着です。
深川駅から、いよいよ留萌本線です。「本線」と名前がついていますが、本線感は全くありません。
深川駅からしばらくは、すぐには廃止予定ではない区間を走ります。まぁ、この日の少し前に、JR 北海道は、この区間も廃止したいという意向をすでに発表していましたが…
しばらく行くと、留萌駅に到着です。
列車が到着すると、先頭車両の横に何やら見たことのない標識が立てられていました。これは、何の標識なんでしょうか?
留萌駅では、それまで 3 両編成だった列車の最後尾車両が切り離され、2 両になります。
本来は、この先乗客が減るためここで切り離すのですが、皮肉なことに、この日は、葬式鉄で、廃止される区間だけを狙って乗りに来る人が大勢いるため、ここから乗客が激増しました。
ここから: 訂正
上記で「この先乗客が減るため切り離す」と書いていますが、この 3 両目は、回送を営業列車に連結して行っている車両で、もともと乗客を乗せていない車両なのだそうです。車両を留萌駅まで回送するのが目的だったので、ここで切り離していたのだそうです。
ここまで: 訂正
留萌駅を出ると、海沿いの区間に入ります。本州の感覚ではまだ秋ですが、もう 「冬の日本海」 という感じの、重い感じの海が車窓に広がります。
元々貨物列車の車掌車だった車両をそのまま地面に置いただけのような適当な作りの駅や、列車の 1 両分の長さどころか、1 つのドア分ぐらいしかホームの長さがない駅など、なかなか他では見れない駅が続きます。
そして終点、増毛駅に到着です。普段は改札は行われていないのですが、廃止が近づき葬式鉄に来る人が増えたことで、この日は臨時改札がホームの列車の先頭のすぐ横あたりで行われていました。
とりあえず、駅名標にタッチしておきました。
しばらくすると、乗って来た列車が出発してゆきました。
この列車が 12:57 発の列車です。次に増毛駅を出発する列車は、なんと 2 時間 44 分後の 15:41 発の列車までありません。
この区間の列車に乗ること自体を目的に来たのですが、この 3 時間近い時間はあまりにも暇なので、駅周辺を観光しました。
増毛駅は実は海のすぐ近くにあります。この日は風が強く海が荒れていたため、駅から海の方を見ていると、打ち寄せる波が海岸に当たってはね上がると、その上の方が見えたりするのですが、駅舎やホームと、海が近くにあるとわかるような写真を撮るのはけっこう困難です。駅の近くにいた地元の人に、海の近くに駅があるとわかるような写真を撮れる場所はないですか? と聞いてみると、増毛灯台まで登れば、そんな風に見えるかも知れないということだったので、行ってみました。
で、増毛駅と海が 1 枚の画面に収まる写真が撮れたのかと言うと、一応撮れました。これです。
駅がどこにあるか知っている人はすぐわかると思いますが、知らない人はどこに駅があるか気づいてもらえないかも知れません… 駅舎は残念ながら木に隠れているだけではなく、さらにその向こうにある別の建物にも隠されていて、たぶん増毛灯台の場所からは見えません。しかしプラットフォームや、そこに立つ駅名標の看板は見えています。それがわかると駅の場所がわかると思います。こうやって見ると、本当に海の近くにある駅だということがわかります。
増毛灯台の近くには、忠魂碑がありました。
忠魂碑の鳥居の前の道は、オロロンラインの旧道です。オロロンラインを渡ると、それなりに有名らしい、増毛小学校の校舎です。趣のある建物です。
増毛小学校から海に向かってオロロンラインを下りました。途中に増毛町役場があります。町役場の駐車場を見ていて「痛車だ」と思ったら違って、町役場の車でした。
増毛町役場の向かい側には、増毛厳島神社があります。拝殿はとても新しいように見えましたが、1901 年に完成したらしいので、それなりに古い建物です。北海道の厳しい自然の中に建てられるということで当初から覆上屋がついていたらしく、そのおかげで保存状態が良いのだと思います。拝殿正面には、なかなか立派な彫り物が付いていました。
町役場から海の近くへ続く道。その先に、もっと高い防波堤、防潮堤が必要なのでは? という疑問を感じるほど、海に近く、低いです。
駅からそれほど遠くない場所には、重要文化財となっている、旧商家丸一本間家の建物が残されています。
かっこいい建物ですね。このような立派な建物を見ると、増毛の町が、ニシン漁や、水産物加工で、かつては栄えた町であったことをしのばせます。
近くには千石蔵という建物もあります。
こちらの千石蔵も立派な建物でした。現在は資料館のようなものになっているようですが、入ると時間が足りなくなりそうだったので入りませんでした。
増毛駅に戻ると、もう乗る列車は入線していました。
車内はセミクロスシートなのですが、クロスシート部分は、いわゆるお見合いシートで、方向が車両の中央方向に固定されています。車両の中央部分では向かいあったボックスシートのようになっていて、テーブルもついているので、見ようによってはとても豪華な感じです。帰りの列車はたまたまその豪華な部分が空いていたので、そこに座りました。
帰りの列車はもう日没間近で、曇っていて夕日そのものは見えませんでしたが、日本海に夕日が沈んでいく美しい時間帯を、海岸線を走る列車から楽しむことができました。
雲の切れ目からはエンジェルズ・ラダーが美しく射していました。
留萌をすぎてしばらくすると、もう日没してしまって写真を撮るのはほぼ不可能な暗さになってしまったので、車窓をのんびりと楽しんで帰りました。
留萌線の終点、深川駅からは、スーパーカムイ 27 号で旭川駅に戻ります。
旭川駅前のロータリーに停まっていた回送バスのサボには 「すみません 回送車です」 と、謝罪の言葉が書かれていました。
旭川駅から旭川空港までは、わかりにくい空港バスです。乗り場、チケット、行き先表示、すべてわかりにくい史上最悪の空港バスでした。旭川の地元の人はあれで文句言わないのでしょうか…?
旭川空港から東京・羽田空港へ JAL で戻ります。往路に乗ったのとまったく同じ機体 JA325J でした。
日帰り北海道は、今回が 2 回目でした。ちょっと慌しかったけど、留萌本線のさよなら乗車、廃止となる増毛駅などが見れて、なかなか良い旅でした。