新宿駅西口広場イベントコーナーという、地方の物産展などを時々やっている、都心にあってとても田舎っぽいスペースがあります。そこで 2016/11/21(月) ~ 11/24(木) に 「土木コレクション 2016」 というイベントが行われていました。
このイベントで 「新宿駅立体模型 (2016)」 という作品が展示されているということを知り、見に行ってきました。
模型は昭和女子大学環境デザイン学科田村研究室が中心となって製作されたものです。
で、立体模型がどんなものかというと、こんなものです。
模型の周辺には昭和女子大学の学生さんが立っていて、質問があると答えてくれます。
環境デザイン学科って何なんだろう? と思いますが、彼女たちはその中でも建築に関する勉強をしている学生さんたちで、建築士の資格を取ったりしているそうです。向かって右の方は大学院生で、左の方は学部生ということでした。
模型は 1/100 の縮尺ですが、高低差がわかりやすくなるように、縦方向は 2 倍にしてある (つまり縦方向の縮尺は 1/50 である) そうです。
模型の設計は、建物などの設計図を元にしたのではなく、学生が実際に地下街などを歩いて調査した結果を元に設計したそうです。
材質は木ですが、このような綺麗な形に切り出すのは CAD などのデータを出すと、その形に切ってくれる業者があるそうで、そちらに依頼したとのことでした。
階段部分は、大学にある機械を使って学生が作ったそうです。その機械の特質上、加工面の一部が焼けてしまって黒くなるそうです。階段が黒くなっているのはそのためで、黒くしようと思ってやったわけではないのだそうですが、組み立ててみると、階段部分が黒くなっているのがいい感じだったので、これでよかったと思ったそうです。
模型を支えている多くの柱ですが、これはなんと全て高さを計算して発注した、この模型を支えるための専用の柱金具です。金具の最上部には高さを微調整するためのボルトとナットがついていますが、基本的には柱の長さ自体を最初から設計した通りの高さで発注して作ったものらしいです。組み立てた状態での耐震計算は一応したらしいですが、結果は教えてくれませんでした。(まぁ、全然だめな数字が出たということなのだと思います)
面白いのは、この模型がこのイベントで置かれている新宿駅西口広場イベントコーナーが、この模型の範囲に含まれているのですが、そこに、ちゃんとこの模型の模型が置いてあったことです。
この 1/100 模型の 1/100 模型を見ると、西口からさらに新宿西口高層ビル群や都庁前駅などがある部分へ続く地下道なども作られています。実は模型としては設計していたのだそうですが、この模型を最初に展示した学校でのイベント (学園祭?) で展示に使う教室に入りきらないことがわかり、その部分は実際には製作しなかったそうです。(話を正確に覚えていないのですが、部品は作ったけど組み立てなかった、というような話だったかも知れません…)
ちなみに見た感じからしてそうだと思いましたが、この 1/100 模型の 1/100 模型は、3D プリンタで作ったものだそうです。
全体像を撮影するのは無理だったのですが、パノラマ写真を作ってみました。
こちらは、副都心線の新宿 3 丁目駅あたりの方向から撮った写真で作ったパノラマ写真です。
この写真を見ればわかるように 「新宿駅立体模型」 という名前ですが、丸の内線・副都心線・都営新宿線の新宿 3 丁目駅、大江戸線の新宿西口駅も模型の範囲に含まれています。
学園祭での展示では、模型自体を机の上高い位置に設置して展示したので、JR のホームの下のあたりなどに人が通れる場所があり、模型の複雑な構造を下から覗き込むこともできる形での展示だったそうです。それも面白そうだと思いました。また、個人的には、上から俯瞰で見下ろせるような場所で展示されていると、また違った面白さがあるだろうなと思いました。
知らなかったのですが、この研究室ではこの新宿駅の 1/100 模型の前に、東京駅の 1/200 模型、渋谷駅の 1/100 模型も作っているそうです。渋谷駅の 1/100 模型と、新宿駅の 1/100 模型を並べて展示すると、比較できてそれも面白そうだと思いました。展示できるスペースがある場所は限られてしまいそうですが…
来年以降の予定はまだ決まっていないそうですが、他の駅の模型をさらに作ったりとかいった展開があるようです。他にそこそこ複雑な駅としては、池袋駅とか 1/200 模型しか作っていない東京駅も 1/100 模型も作ったりとか、今回の新宿駅の西口側で切れたままになっている高層ビル群の地下、都庁前駅付近などの構造まで延長して作ったり、色々アイデアはあるようです。個人的には北千住駅の立体構造が面白いと思っているので、北千住も作ってくださいとお願いしておきました。
次にどのような作品が出てくるかわかりませんがとても楽しみです。